人生最後の食事

5年ほど前に、NHKクローズアップ現代で、大阪のホスピス(淀川キリスト教病院)が、末期がんの患者さんに食事の希望を叶えるというドキュメンタリー番組がありました。「初任給で食べたバッテラ」、「お母さんの玉子焼き」、「家族と鍋」など、死の直前の患者さんにホスピスの職員が懸命に工夫して提供していました。食道がんで固形物を食べられない男性は、希望通り「家族との鍋」を職員の休憩室で再現してもらい、豆腐を一口食べ、感慨深いげに涙を流しておられました。

先日90歳半ばで亡くなられたおばあさんは、身体も弱り咀嚼の力も弱っておられましたが、「胃ろうは嫌だ」と言われ、亡くなられる前々日には、大好きな豚肉を召し上がられました。葬儀の後、ご遺族の方は「悲しいけれど、最後に好物を食べさせてあげられて良かった」とおっしゃっられていました。

「食べること」、「食べる楽しみ」は、元気なうちは当たり前のことなので、自分にとってそれができなくなることは、あまり想像しませんね。人生最後の食事、あなたの頭に浮かぶものは何でしょうか?

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