リチャード・ロイド・パリーというイギリス人のジャーナリストが書いた「津波の霊たち」という本を読みました。或る日突然、愛する家族や子供を失った遺族の心情や行動が記されています。外国人記者により、淡々と綴られる「聞き取られた事実」が、圧倒的な悲しみを訴えかけてきます。特筆すべきは、事実として聞き取られた「目撃された数多くの霊」「無念の死を訴える霊に取り憑かれた人」の話です。生き残った者に対する心のケア(グリーフケア)は勿論大切ですが、それに加え、我々僧侶には、無念の死を受け入れられない霊たちを慰める役目があると思います。「霊の気持ちに寄り添い、無念の気持ちを受け止め、読経供養すること」このことに、真摯に向き合いたいです。